No30. 上肢を使い続けるための仕組みづくり ― MALや練習記録の活用

どうも、サギョウ先生です!

臨床で患者さんに関わるとき、麻痺手の「訓練室での機能改善」ばかりに目を奪われていませんか?

実は、生活場面で手を使い続けてもらうためには、筋力や麻痺の回復を待つだけでなく、今ある能力を最大限に活かすための「仕組みづくり」が超重要なんです! その仕組みづくりの強力な味方になるのが、患者さんの行動戦略を支える「Transfer package(トランスファーパッケージ)」です。

例えば、海外のエビデンス(RCT)では、このトランスファーパッケージを実施したグループは、課題指向型練習だけを行ったグループに比べて、練習後の麻痺手の使用頻度が大幅に向上し、その効果が「1年間」も持続することが証明されています。

さらに臨床で今すぐ使える具体的なツールとして、MAL(Motor Activity Log)、行動日記、ADOC-Hの3つが挙げられます。

あらかじめADOC-Hを用いて「この動作のときは麻痺手を使う」と具体的な場面を割り当て、行動日記に毎日の使用状況や難しかった理由を記録してもらいます。それに対して、私たち療法士が赤字でコメント(フィードバック)を返していくことで、実生活の障壁を乗り越える問題解決の力が育まれていきます。

つまりトランスファーパッケージは、単なる「生活でも使ってね」という口頭の促しではなく、生活で麻痺手を使い続けるための「行動変容システム」であり、獲得した機能を「実生活へ汎化させる」 ための確実な架け橋として位置づけるのが正解です。

毎日のモニタリングを通じて「生活のなかでもできた!」という成功体験が増えれば、脳の強化学習システムが回り出します。

リハビリ室の1時間だけでなく、生活環境をどうデザインするか。MALや練習記録を上手に組み合わせて、麻痺手を「使い続けられる仕組み」を整えていきましょう!

今回の内容はほんの一部です。詳しくはInstagramやnoteを確認してみてください。公式LINEでは質問受付中です!

参考文献

道免和久(監)竹林崇(編):行動変容を導く! 上肢機能回復アプローチ 脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略.医学書院.2017.
竹林崇(編):作業で紡ぐ上肢機能アプローチ 作業療法における行動変容を導く機能練習の考えかた.医学書医.2021.
Taub E, et al: Method for enhancing real-world use of a more affected arm in chronic stroke : transfer package of constraint-induced movement therapy. Stroke 44: 1383-1388, 2013.

図はRe:Gakusyaが参考文献をもとに作成したものです。

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