認定理学療法士(脳卒中)のダイリハです。

ここでは学生から新人セラピストを対象に「いまさら聞けない姿勢制御」と題して、姿勢制御について簡単にわかりやすく解説しています。
第5章の4回目は「ボディースキーマは変化する?」です。
前回、ボディースキーマは「脳内にある無意識の身体の地図」だとお話ししました。
では、この地図は一度完成したら一生そのままなのでしょうか?正直、僕も新人の頃は「大人になったら地図の形は変わらないでしょ」と思っていました。
結論から言うと、ボディースキーマは「めちゃくちゃ柔軟に変化(アップデート)します」。
一番わかりやすい例が「道具」を使った時です。
例えば、車を運転している時。狭い路地を曲がる時でも、いちいちタイヤを目で確認しなくても「この感覚ならぶつからない」と車の幅や長さがなんとなく分かりますよね。
あるいは、お箸を使って遠くのおかずを掴む時、お箸の先が自分の指先になったかのように感じませんか?
これは、脳が一時的に車やお箸といった「道具」を、自分の身体の一部として脳内の地図(ボディースキーマ)に組み込んでいるからなんです。これを「身体図式の拡張」と呼びます。
逆に、地図が「縮んでしまう」こともあります。
脳卒中で手足に麻痺が生じ、動かさない期間が長く続くと(学習性不使用など)、脳にはその手足からの感覚情報(入力)が届かなくなります。すると脳は「あれ?この手足はもう使わないのかな?」と判断し、地図から麻痺側の手足の領域をどんどん消去(縮小)してしまうんです。
臨床で、ただ闇雲に筋トレをしたり、セラピストが受動的に手足を動かすだけでは不十分なのはこのためです。
患者さんの脳内で縮んでしまった地図をもう一度描き直すためには、第3章でお話しした「体性感覚」などの正しい感覚入力をしっかりと脳に届け、「ここに足があるよ!」「ここが真っ直ぐだよ!」とボディースキーマをアップデートさせてあげる視点が欠かせません。
また、杖や装具を処方した時も同じです。患者さんがその道具を「自分の身体の一部(ボディースキーマ)」として組み込めるまでには、ある程度の練習と感覚入力の時間が必要なんですね。
次回は「臨床でボディースキーマをどう評価する?」というタイトルで、目に見えないこの地図をどうやって推測するのかについて書いていきます。
こうやって考えていくと、どんどん姿勢制御が面白くなってきませんか?ダイリハのnoteではさらに深堀して、わかりやすく臨床で使える知識にしています。よかったら見てみてください!

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