No26. 使用量はなぜ上肢機能に影響するのか

どうも、サギョウ先生です!

リハビリ室でどれだけ質の高い練習をしても、患者さんが病棟や自宅に戻った途端に麻痺手を全く使っていなかったら、せっかくの機能改善は脳に定着しません。

実は、上肢機能の運命を分けるのは、リハビリの時間だけではなく、生活の中での圧倒的な「使用量」なんです!

運動学習の3つ目の規則である「教師なし学習」は、この「使用依存性可塑性(使えば使うほど脳の回路が強くなる仕組み)」に深く関わっています。

脳卒中後、動きにくい麻痺手を避けて非麻痺則ばかりを使っていると、損傷側の運動野の上肢領域がどんどん縮小してしまいます。さらに、非麻痺手ばかりを使うことで「非損傷側の脳」から 「損傷側の脳」への過剰なブレーキ(半球間抑制の不均衡)が強まり、麻痺手はますます動かなくなる「学習性不使用」の悪循環に陥るのです。

この悪循環を断ち切る唯一の手段が「圧倒的な使用量」です。生活の中で意図的に麻痺手の出番を増やすと、縮小していた損傷側の運動野マップが再び拡大し、左右の脳の興奮バランスが正常化していきます。

つまり、生活で使える手にするためには、単にリハビリ室で機能を高めるだけでなく、実際の生活場面で麻痺手を「どう使うか」の役割を与え、絶対的な使用量を確保する仕組み作りもセラピストの重要な役割になります!

次回は、ここまで学んだ運動学習なども参考に、上肢の予後予測について解説していきます。

今回の内容はほんの一部です。詳しくはInstagramやnoteを確認してみてください。公式LINEでは質問受付中です!

参考文献 道免和久(編):CI療法ー脳卒中リハビリテーションの新たなアプローチー.中山書店.2008. 道免和久(監)竹林崇(編):行動変容を導く! 上肢機能回復アプローチ 脳卒中上肢麻痺に対する 基本戦略.医学書院,2017.
Longer versus shorter daily constraint-induced movement therapy of chronic hemiparesis: an exploratory study. Sterr A, Elbert T, Berthold I, et al. Arch Phys Med Rehabil 83:1374-1377.2002.
道免和久:運動学習から考察するリハビリテーション臨床.Jpn J Rehabil Med Vol. 56 No. 5 ,391-397.2019.

図はRe:Gakusyaが参考文献をもとに作成したものです。

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