No25. フィードバックは上肢機能をどう変えるのか

どうも、サギョウ先生です!

臨床で患者さんが失敗しそうになったとき、つい先回りして「そっちじゃないですよ!」「手がズレてます!」と答えを教えすぎていませんか?

実は、良かれと思ってエラー情報をすぐに教えてしまう関わりは、かえって患者さんの運動学習の機会を減らしてしまうことがあるんです。

前回の「成功体験(強化学習)」に対し、今回のフィードバックは「教師あり学習(誤差情報による学習)」に深く関わっています。人間が手を伸ばすとき、小脳の中では「これくらいの感覚が返ってくるだろう」という予測が作られますが、麻痺があると実際の動きとの間に「ズレ(感覚予測誤差)」 が生じます。

このエラーを小脳自身が検出して修正することで、脳のネットワークが書き換わり、正しい動かし方を学習していきます。課題を重ねるごとにエラーが低下し、学習が進むと小脳の活動面積が小さく(効率化)なっていきます。

つまり、小脳のエラー修正システムを働かせるには、患者さん自身が身体の感覚を頼りにエラーに気づくプロセスが重要になります。セラピストが「ズレてるよ」と外的フィードバックを与えすぎると、脳は自分の身体の感覚でズレを検出することをサボって依存してしまい、リハビリ室を出て一人になった瞬間に手が使えなくなってしまいます。

臨床では「動かし方の指示より結果(KR)を伝える」「伝える頻度を徐々に減らす」「本人に自己評価してもらう」の3つを意識して、小脳のエラー修正システムを効率的に回していきましょう!

次回は、運動学習を語る上で絶対に避けては通れない「使用量」について解説します!

今回の内容はほんの一部です。詳しくはInstagramやnoteを確認してみてください。公式LINEでは質問受付中です!

参考文献
長谷公隆:運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 第2版.医歯薬出版株式会社. 2016.
道免和久(監)竹林崇(編):行動変容を導く! 上肢機能回復アプローチ 脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略.医学書院,2017.
坂井建雄、小林靖、宇賀貴紀:構造と機能がつながる神経解剖生理学.医学書院,2024.
Eric .R.Kandel(編):カンデル神経科学 第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2022.
Imamizu H, et al. Human cerebellar activity reflecting an acquired internal model of a novel tool.Nature 403: 192-195, 2000.
D’Angelo, E., & Casali, S. Seeking a unified framework for cerebellar function and dysfunction: from circuit operations to cognition. Frontiers in Neural Circuits, 6, 116.2013. Welniarz, Q., Worbe, Y., Gallea, C.:The Forward Model: A Unifying Theory for the Role of the Cerebellum in Motor Control and Sense of Agency .Frontiers in Systems Neuroscience , 16,2022. 廣谷和香:小脳ならびに小脳脳幹病変に伴う運動失調に対する評価と理学療法.理学療法 ジャーナル2024;58:1113-1121.

図はRe:Gakusyaが参考文献をもとに作成したものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次