4章:内側運動制御系と外側運動制御系「内側運動制御系と外側運動制御系をざっくり解説」

認定理学療法士(脳卒中)のダイリハです。

学生から新人セラピストに向けて、姿勢制御をわかりやすく解説する「いまさら聞けない姿勢制御」シリーズ。今回から第4章に入ります。

今回のテーマは、「内側運動制御系と外側運動制御系をざっくり解説」です。

脳から脊髄へと下行する運動伝導路は、教科書を見ると漢字がズラッと並んでいて、学生時代は国家試験のために丸暗記したという方も多いのではないでしょうか。

しかし、これらを「内側」と「外側」の2つのシステムに分けて整理すると、臨床での役割が非常にクリアになります。

それぞれのシステムが担う役割と、具体的な経路を見ていきましょう。

外側運動制御系:四肢遠位部の随意的なコントロール

外側運動制御系は、主に四肢の遠位筋(手足の先)を意識的に、かつ細やかに動かすためのシステムです。「目の前のコップを掴む」「お箸を使う」といった、私たちが普段「随意運動」と呼んでいる目的指向型の運動を担当します。

【代表的な下行路】

  • 外側皮質脊髄路:

大脳皮質から脊髄へ直接下降し、四肢遠位の巧緻運動をコントロールする最も代表的な経路です。

  • 赤核脊髄路:

主に上肢の屈筋群に働きかけ、外側皮質脊髄路を補助的にサポートするとされています。

内側運動制御系:体幹・近位部の姿勢制御とバランス

一方の内側運動制御系は、主に体幹や四肢近位部の筋肉をコントロールし、姿勢の維持やバランスを保つためのシステムです。多くの場合、意識に上らない無意識下での姿勢調節に関与しています。

【代表的な下行路】

  • 網様体脊髄路:

姿勢制御の要となる経路です。手足を動かす前に体幹を安定させる「先行性姿勢調節(APA)」など、重力に対して姿勢の土台を作ります。

  • 前庭脊髄路:

内耳(前庭器)からの感覚情報を受け取り、頭部の傾きや身体の揺れに対して素早く反応し、抗重力筋を活動させて転倒を防ぎます。

  • 前皮質脊髄路:

体幹や四肢近位筋の随意的なコントロールに関わります。

  • 視蓋脊髄路:

視覚や聴覚の刺激に対して、反射的に頭部や眼球を向ける働きをします。

臨床での視点:遠位の運動には近位の安定性が不可欠

第1章の最初の方で、「臨床で運動麻痺ばかりみていませんか?」とお話ししたのを覚えていますか?

脳卒中のリハビリでは、どうしても「動かない手足(外側運動制御系の問題)」に目が行きがちです。しかし、どれだけ手指の巧緻性を高めようとしても、その土台となる体幹や近位部の安定性(内側運動制御系の働き)が不十分であれば、実用的な動作を獲得することは困難です。

「無意識の姿勢の土台(内側系)」が機能してはじめて、「意識的な手足の動き(外側系)」が効率よく発揮されるという関係性を、まずはイメージしておくことが大切だと思います。

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