認定理学療法士(脳卒中)のダイリハです。

ここでは学生から新人セラピストを対象に「いまさら聞けない姿勢制御」と題して、姿勢制御について簡単にわかりやすく解説しています。
第3章の10回目は「体験してみるとわかる感覚の重みづけ」です。
前回、脳が環境に合わせて感覚のスイッチを切り替えているお話をしました。
でも「重みづけ」って言葉だけだと、まだ少しピンとこないですよね。正直、僕も学生時代は「ふーん、そういう機能があるんだな」くらいにしか思っていませんでした。
百聞は一見に如かず。実際に皆さんの身体で体験してみましょう。
まず、その場で「片足立ち」をしてみてください。
目を開けて、硬い床の上なら簡単ですよね。この時、脳は視覚、体性感覚、前庭感覚の3つをバランスよく使って姿勢を保っています。
では次に、「目を閉じて」片足立ちをしてください。
…どうですか?途端にグラグラして、足の指先にギュッと力が入りませんでしたか?
これがまさに「感覚の重みづけが切り替わった瞬間」です。
目を閉じたことで、脳は「視覚からの情報が消えた!ヤバい!」と判断し、慌てて残りのセンサーである足の裏の「体性感覚」と、耳の奥の「前庭感覚」に頼る割合(重み)を全振りしたんです。足の指に力が入ったのは、床からの体性感覚情報を必死にかき集めようとした証拠ですね。
健常な僕らでも、視覚という一つの感覚を制限されるだけでこれだけバランスが崩れます。
もし脳卒中の患者さんが、麻痺や感覚障害によって「常に目を閉じて、スポンジの上に立っているような状態」だとしたらどうでしょう?
この体験を通すと、患者さんがなぜ歩行時にあんなに過剰に力んでしまうのか、少し見え方が変わってきませんか?
次回は第3章の最後、「実際に感覚の重みづけの文献を見てみよう」というタイトルで、少しだけエビデンスに基づいたお話をしていきます。
臨床で自分の力をエビデンスに基づいて発揮したい!という方はぜひダイリハのInstagramやnote、YouTubeを覗いてみてください。

コメント