認定理学療法士(脳卒中)のダイリハです。

ここでは学生から新人セラピストを対象に「いまさら聞けない姿勢制御」と題して、姿勢制御について簡単にわかりやすく解説しています。
第3章の3回目は「なぜ視覚がここに影響するのか?」です。
前回、患者さんが足元ばかり見る「視覚代償」のお話をしました。
「危ないから前を向いて!」と声をかけたくなりますよね。正直、僕も新人時代はただ「障害物にぶつかると危ないから」という理由だけで前を向かせていました。
でも、足元を見続けることの本当のリスクは、別のところにあるんです。
実は視覚には、大きく分けて2つの役割があります。
1つは「中心視」。これは文字を読んだり、目の前の障害物をハッキリと捉えるための視覚です。
もう1つが「周辺視」。これはぼんやりと空間の広がりや、自分と周りの景色との位置関係、動きなどを無意識に感じるための視覚です。
そして、姿勢制御において重要なのは、後者の「周辺視」なんです。
私たちが歩く時、景色が後ろに流れていきますよね。脳はこの景色の流れ(オプティカルフロー)を周辺視で捉えて、「今、身体が右に傾いたな」「これくらいのスピードで進んでいるな」と計算し、無意識にバランスを自動調整しています。
患者さんが足元の一点(自分の足)を「中心視」で凝視してしまうと、この「周辺視」による空間の情報がシャットアウトされてしまいます。
すると、脳は空間の中での自分の位置(姿勢定位)を見失い、怖くなって余計に身体をガチガチに固めてしまうんです。
だからこそ、ただ「前を見て」と注意するのではなく、視線を上げて「空間全体」を自然に捉えられるような環境設定や声かけが大切なんですね。
次回は「体性感覚はバランスにどうかかわってくるのか?」というタイトルで、足の裏から入る重要なセンサーについて書いていきます。
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