どうも、サギョウ先生です!
今回は、脳卒中患者さんの約8割が経験するとされる上肢の運動麻痺を中心に、「上肢運動障害」を脳のつながりから整理していきます。

上肢と脳は非常に密接に結びついています。筋肉を動かす神経である皮質脊髄路の多くは、頸髄レベルに終止します。そのため、運動の実行を担う一次運動野や皮質脊髄路といった運動関連の脳領域が損傷すると、手や指の動きに直接的な影響が出やすいのです。
特に指に関わる皮質脊髄路には、介在ニューロンを介さず、大脳から脊髄の運動ニューロンへ直接つながる経路もあり、巧緻動作に大きく関与しています。だからこそ、脳損傷「細かい手の動き」に強く影響します。

しかし、上肢の問題は「運動麻痺」だけでは説明できません。体性感覚野の感覚情報、小脳による誤差修正、基底核による運動の選択と抑制など、広い脳のネットワークが関与しています。
一見すると「手が上がらない=運動麻痺」と思いがちですが、「上げた感覚が曖昧でうまく制御できない」というケースも少なくありません。
だからこそ、上肢機能を理解するには「筋肉から」ではなく「脳から」整理する視点が重要です。一つずつ要因を紐解いていくことが、上肢リハビリの第一歩になります。
次回は、臨床でよく遭遇する上肢後遺症から具体的に整理していきましょう。
今回ご紹介したのはほんの一部です。詳しくはInstagramやnote、そして一次情報もぜひ確認してみてください。
参考文献
Eric .R.Kandel(編):カンデル神経科学 第2版.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2022.
水野昇(監訳),他:臨床神経科学とリハビリテーション.西村書店,2020.
原寛美・吉尾雅春(編):脳卒中理学療法の理論と技術 第4版.MEDICAL VIEW,2022.Stinear, C. M., Byblow, W. D., Ackerley, S. J., Barber, P. A., & SmithBeebe, J.A. & Lang, C.E. (2009) Active Range of Motion predicts Upper Extremity Function Three months post-stroke, Stroke, 40(5), 1772-1779.
M.-C. (2017). Predicting Recovery Potential for Individual Stroke Patients Increases Rehabilitation Efficiency. Stroke, 48(4), 1011-1019.

図①②はRe:Gakusyaが参考文献をもとに作成したものです。
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